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トップ>達人紹介コーナー>お酒>第6回 です。

達人紹介コーナー


◇今宵のピリオドに
日々、美味しいお酒で過ごす夜。日本酒もワインもいいですが、深夜に打つ今宵のピリオドには、少し強めのお酒はいかがですか?
蒸留酒の代表であるウイスキーですが、そのなかでも特に個性が楽しめる、シングルモルトウイスキーを味わってみましょう。
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◇ウイスキーってなんだろう?
お酒は大きく分けて3つに分類できます。
まず、穀物や果実を材料にアルコール発酵をさせた醸造酒。ビール、日本酒、ワインなどがこの分類にはいります。
次に蒸留酒。今回のテーマであるシングルモルトウイスキーはこの分類です。発酵によって生まれた酒を蒸留して、アルコールの高い酒を得ます。ウイスキー、ブランディ、ウオッカなどですね。
そして混成酒。これは醸造酒や蒸留酒に果実や香草を混ぜたり、エキスを加えたりして作ります。いわゆるリキュールがこれにあたります。

では、そのウイスキーのこと。
同じ蒸留酒に分類されていても、ブランディやウオッカとも異なるウイスキー。そこにはしっかりとした定義があります。

その1) 穀物原料であること。
ウイスキーの原料は、麦やトウモロコシなどの穀物が原料です。
ブランディは果実であるブドウが原料ですね。
その2) 発酵させ、蒸留した酒であること。
蒸留することでアルコール度数の高いお酒となりますね。
穀物原料であっても、ビールや日本酒は醸造酒です。
その3) 樽熟成を行うこと。
蒸留した原酒を木樽(主にオークが使われています)に詰めて熟成します。
ウオッカは、穀物を原料として(大麦やライ麦など)蒸留したお酒ですが、樽熟成を行わないのでウイスキーではないのです。
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◇スコッチウイスキーとは?
アイルランドのアイリッシュウイスキー、アメリカのアメリカンウイスキー、カナダのカナディアンウイスキー、日本のジャパニーズウイスキー、そしてスコットランドのスコッチウイスキーが世界の五大ウイスキーと呼ばれています。
スコッチウィスキ−とは、スコットランドで製造、蒸留されて、最低3年間、容量700リットルを超えないオ−ク樽で熟成したウイスキーをいいます。

そのスコッチウイスキ−には、モルトウイスキーとグレーンウイスキーがあり、原料と製造法によって区分されています。
(グレーンウイスキーとは、主にトウモロコシなどを原料に連続式蒸留器で蒸留したウイスキーのこと。主にブレンド用として使われているウイスキーです。)

バランタインやシーバスリーガル、ジョニーウオーカーなどはブレンデッドウイスキーといい、いくつかのシングルモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものです。
ちなみにシングルモルトウイスキーのみをブレンドしたものはヴァッテッドモルトと呼びます。
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◇さて、シングルモルトウイスキー
そこで、今宵のお楽しみ。シングルモルトの登場です。
まずモルトとは何なのでしょうか?
モルトとは大麦の麦芽のことなのです。一つの蒸留所で、この大麦麦芽を原料として発酵し、ポットスチル(単式蒸留器)で蒸留、最低3年以上の樽熟成を経たものを、シングルモルトウイスキーと称します。
現在、スコットランドでは119ほどの蒸留所が稼動していて、それぞれの蒸留所で、個性的なシングルモルトウイスキーがつくられています。
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◇シングルモルトの生産地域
シングルモルトウイスキーは、地域ごとにタイプが分かれています。
地域の特徴と代表的な蒸留所は・・・・・。

1) ハイランド(スコットランド北部)
まろやかなタイプが多いともいわれますが、伝統的な区分では93ものモルトがハイランドに分類されるので、多彩な個性のウイスキーが生まれています。
主な蒸留所は、ダルモア、クライヌリッシュ、グレンオード、エドラダワーなどです。
2) スペイサイド(ハイランド地方のスペイ川流域)
ウイスキーづくりに欠かせない質の良い水と、熟成に適した清涼な空気が最高峰のウイスキーを生み出しています。歴史のなかでは密造酒の地でもあったそうです。
モルトのロールスロイスと称されるマッカラン、政府公認蒸留所第1号のザ・グレンリベットなど、まずは味わっておきたいモルトばかりです。
3) ローランド(スコットランド南部)
ハイランドに比べて蒸留所数は少なく、現在稼動している蒸留所はオーヘントッシャン、ブラッドノック、グレンキンチーの3蒸留所だけですが、歴史ある蒸留所が生み出すウイスキーにはしっかりした個性があり、リトルミル、ローズバンク、セント・マグデランなどのウイスキーには熱烈なファンがいます。
4) アイラ(アイラ島)
ピート香、スモーキー、潮の香りなどといわれる強い個性を持っています。
好みが分かれる味わいですが、ブレンデッドのスコッチウイスキーでアイラモルトを使っていないものはないといわれるほど、スコッチの核となるモルト原酒なのです。
ラガヴーリン、ラフロイグ、ボウモア、アードベッグなど、ぜひ味わってみてください。
5) アイランズ(オークニー、スカイ、ジュラなどの諸島)
それぞれの島で強い個性があり、アイランズの特徴をまとめるのは少々むずかしいことです。
オークニー島のハイランドパークはコクとなめらかさが、スキャパにはオイリーな飲み口、スカイ島のタリスカーはスモーキーでアイラモルトに近い個性、など。
6) キャンベルタウン(キンタイア半島南端)
豊かな香りと芯のあるコク、ブリニー(塩辛い)といわれる個性があいまって、独特のウイスキーが生まれています。
しかし、1920年代には21もの蒸留所がありましたが、現在はスプリングバンクとグレンスコシアの2つだけしか残っていません。
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◇もっと楽しむシングルモルト
アイラモルトの香りの表現で、よく「ピート香」とか「ピーティーな」などといいます。これはピートに由来する香りを表現したものなのです。ピートとはヒースなどの潅木が堆積してできた泥炭のことで、スコットランドでは古くから燃料として使われてきました。ウイスキーづくりでは、原料の大麦麦芽を乾燥させることに使っています。これが独特の香りを生み出しているのです。ところが、ハイランドのグレンゴイン蒸留所では、全くピートを焚かないことで有名です。これは麦芽の持つ風味を純粋に楽しむためだそうです。

そんなシングルモルトを楽しむグラスは、やや小ぶりのシェリーグラスのようなタイプが良いでしょう。香りを楽しみながら、ゆっくりと味わってください。

まずはストレートで試してみましょう。アルコール度数が高いのでゆっくりと。シングルモルトの場合、オンザロックは避けたいところです。それは、氷を入れることで香りを消してしまうからなのです。そこでミネラルウオーターを少し加えて楽しんでみましょう。ウイスキーと同量か、やや少ないくらいの量で良いでしょう。そうすることで、思わぬ香りが広がってきます。

日本におけるシングルモルトの第一人者である土屋守氏が代表を務める「スコッチ文化研究所」という組織があります。
テイスティング会やセミナーなどを定期的に行っており、土屋さんのわかりやすい解説にはモルトの魅力が満載です。ぜひアクセスしてみてください。より広く、より深く、モルトの海での航海が楽しめますよ。
アクセスはこちらから 

その土屋守氏の著作「シングルモルトを楽しむ」から、モルトのあれこれを。

・ラフロイグは王室御用達?
→チャールズ皇太子の御用達。プリンス・オブ・ウェールズの紋章がラフロイグのラベルに印刷されている。
・大麦は実は毎年品種改良されている?
→1960年に革命的に品種改良されたゴールデン・プロミス種をいまだに使っているのは、マッカランとグレンゴインのみ。
・麦芽は外部調達している蒸留所が多い?
→フロアモルティング(自家製麦)の手法を守っているのはラフロイグ、ボウモア、スプリングバンク、ハイランドパーク、バルヴィニー、ベンリアック、グレンドロナックの7蒸留所だけ。
・マッカランのポットスチルは小さい?
→スペイサイドでは最小。ヘビ−タイプが出来やすい。
また、グレンモーレンジのポットスチルはもっとも首の部分が長く(5.13m)、全体ではおよそ9mとスコットランドで最長。
マッカランの4倍もあり、かなりライトに仕上がるそう。
・モルトの熟成に使う樽はすべて中古?
→スコッチ以外に一度使った樽を使い。バーボンやシェリーの樽が多く使われています。
ちなみに、モルトの熟成に使われる樽の大きさは主に3種類。
バレル=180リットル、ホグスヘッド=250リットル、シェリーバット(シェリーカスク)=500リットル。
オーク樽の種類はおよそ700種類もあり、現在の主流は北米産のホワイト・オークだそう。
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◇どこから飲むか、どこまでいくか。おすすめのモルトたち
数あるモルトのほんの一部ですが、お楽しみあれ。
(順不同。コメント参考は土屋守氏著「改訂版・モルトウイスキー大全」小学館より)

○ハイランド地方
 ・ダルモア(パワフルでメローな食後酒)
 ・クライヌリッシュ(スパイシーかつフルボディ)
 ・グレンオード(マイルドで中庸)
 ・エドラダワー(スコットランド最小の蒸留所)
 ・グレンモーレンジ(華やかでクリーミー)
 ・アードモア(香り豊かな食後酒)
 ・バルブレア(華やかでドライ)
 ・ブレアアソール(若くライトなボディ)
 ・ブローラ(ハイランドの古典的美酒)
 ・ダルウィニー(おだやかな酒)
 ・グレンゴイン(ピートを焚かない上品なモルト)
 ・オーバン(古典的な味わいのモルト)
 ・プルトニー(複雑なボディに潮の香り。北の強者)
 ・ロイヤル・ロッホナガー(ヴィクトリア女王が愛したウイスキー)
 ・タリバーディン(洗練された風格のモルト)

○スペイサイド
 ・マッカラン(究極のバランス。シングルモルトのロールスロイス)
 ・ザ・グレンリベット(政府公認蒸留所第1号。貫禄の実力派)
 ・アベラワー(芳醇な香り)
 ・バルヴィニー(ふくよかでコクがある)
 ・オルトモーア(食前に、オードブルとともに)
 ・バルミニック(密造時代の伝統を伝える銘酒)
 ・ベンリネス(剛直な味わい)
 ・カードゥ(華やかでライト、入門編に)
 ・クラガンモア(香り豊かでやわらかい)
 ・グレンフィディック(軽くフレッシュ。世界で一番飲まれている)
 ・ノッカンドオ(ふくよかな大人の味)
 ・ミルトンダフ(エレガントなモルト。クリーンでスムース)
 ・ストラスアイラ(華やかでコクのある、優れた食後酒)

○ローランド地方
・ブラッドノック(骨太でビッグ)
・グレンキンチー(軽くドライで、食前酒に)
・リトルミル(モルトのオールドファッション)
・ローズバンク(ローランド伝統の銘酒。再開は??)
・セント・マグデラン(絶滅寸前の聖なるウイスキー)
・オーヘントッシャン(ローランド伝統の一本)

○アイラ
 ・ラガヴーリン(有無を言わせぬモルトの最高峰)
 ・ラフロイグ(スモーキーでドライ。アイラの巨星)
 ・ボウモア(これ一本でアイラの特徴がわかる)
 ・アードベッグ(強いスモーキーさ)
 ・ブルイックラディ(香り豊かなアイラ)
 ・ブナハーブン(もっとも軽いアイラ)
 ・カリラ(超辛口モルト)
 ・ポートエレン(ストックだけの幻のモルト)

○アイランズ
 ・ハイランドパーク(世界最北の蒸留所。北の巨人)
 ・スキャパ(オークニー島の地酒。複雑で気難しいが、ぜひトライしたい)
 ・タリスカー(荒々しいスカイ島の自然を思わせる。強いパワー)
 ・アイル・オブ・ジュラ(ライトボディの入門酒)

○キャンベルタウン
 ・スプリングバンク(甘い香りのモルトの香水)
 ・グレンスコシア(ふくよかでスイート、かすかにスモーキー)


次回は「焼酎の大いなる愉しみ」です。ブームの焼酎ですが、愉しみは尽きませんね。


     

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